IPテレフォニーサーバ 「astima」 VS-1601AS

IPテレフォニーサーバ 「astima」 VS-1601AS

IPテレフォニーサーバ 「astima」 VS-1601AS
株式会社NTTデータ

 

AsteriskベースのIP-PBXソリューション
VOISTAGE astima開発レポート

次世代型IP-PBXオープンソース・ソフトウェア「Asterisk(アスタリスク)」をベースにした、IP対応テレフォニー サーバ、VS-1601ASの開発が大詰めを迎えている。VOISTAGE初の本格的なIP環境への対応、注目を集めるソフトウェアの採用、コンパクトで革新的な筐体など、どれをとっても従来のVOISTAGEとは根本的に異なるDNAをもつ同製品はこのたび「astima(アスティマ)」と名付けられ、開発もこれまでにない体制で進められている。ユーザーレポート第50号にあたる今回は、来年2月にリリースされるastimaの開発模様をレポートする。

株式会社NTTデータUSER8s VOICE

注目のAsteriskをVOISTAGEで

2006年2月、VOISTAGEのプロジェクトマネージャー、中渡瀬部長は、「Asterisk」の情報を初めて耳にした。VOISTAGEプラザ東京のスタッフから、VOISTAGEで商品化できないか、との提案だった。

Asteriskとは、IP-PBXサーバソフトで、2004年アメリカで公開されると、翌年後半からは国内でも話題を呼び始め、07年にはIP電話の普及とともに大ブレイクする可能性を秘めたソフトウェアだ。

その最大の特徴は、オープンソースであること。Linuxの例を見るまでもないが、無償のうえ機能追加などが容易で、世界中の開発者が「育てていく」イメージだ。さらに、SIPやH.323などの呼制御プロトコルをサポートしているのでCTIとの親和性も高い。IP電話と組み合わせることにより、これまで手の届かなかった高価なPBXの機能を極めて低コストで実現できるとあって、中小規模の企業や個人事業者から、今熱い注目を浴びている。

「そのAsteriskにVOISTAGEが蓄積してきたノウハウをプラスすれば、すばらしい製品ができあがるのでは、と直感しました。ただ、これまで既存の電話の世界で生きてきたVOISTAGEが、本格的にIPテレフォニーに向き合うには、発想や体制の抜本的な転換が必要でした。」と、中渡瀬部長は振り返る。

かつてないドラスティックな取り組みがスタートした瞬間だった。 具体的には、まず、開発者側の発想ではなく、利用者ニーズを熟知した営業側の主導で開発を進めること。さらに、06年5月に専任の担当者としてNTT出身の西田さんを社内から呼び寄せるとともに、開発をVOISTAGE開発チームではなく、外部の専門ブレーンに託すこととしたのだ。

「製品の完成形やコンセプトは、すべて中渡瀬部長の頭の中にありました(笑)。私の仕事は、それらを一つひとつ引き出し、実現性や妥当性を見極めたうえで取りまとめ、具体化していく道筋をつけていくことでした。」と西田さん。

6月、中渡瀬部長と西田さんはさっそく、開発の指針となる製品の仕様づくりにとりかかった。

NTTデータ CTIグループ
中渡瀬部長
NTTデータ本社ビル(左)、
右はアネックスビル
NTTデータ CTIグループ 西田さん

より使いやすく簡単に、すべてはユーザーの視点で

必要とされた条件は以下のものだった。

  1. 価格性(コストの追求)
    • Asterisk、Linux、HylaFAXなど、オープンソースのソフトウェアを活用し、開発効率を高める。
    • アプライアンスサーバとして既存のボックス筺体を利用することでハードウェアコストや製造リードタイムも抑える。
  2. 機能性(広い対応用途)
    • 今後登場するであろう他社製品との明確な差別化を図るため、ビジネスホンの機能に、IVRや音声認識、FAXなど、VOISTAGEの得意とするCTI機能を付加すること。
    • 中小規模の企業や部署単位でのビジネスホン、20席程度のコールセンターでの運用を想定した回線規模(外線/16ch、内線/250ch、FAX(同時)/2chなど)とする。
  3. 操作性(簡単運用)
    • GUIに配慮したわかりやすいWebブラウザ設定画面など、専門知識がなくともユーザー自身で簡単に導入や運用ができること。
    • デスク周りにも置ける、メンテナンスフリーでコンパクトな筺体。

これらの条件を備えた、オールインワンのIPテレフォニー サーバ、それがastimaのコンセプトだ。

「販売チャネルも、これまでのVOISTAGEパートナーによるSI販売に加え、NTT東西が扱うひかり電話関連製品として、またオフィス家具・OA用品関連販社や電話工事会社、さらには一般の大型電器店のルーター売場などでも販売してもらえるような製品をめざします。」と、中渡瀬部長。

astimaの開発コンセプト
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GUI環境のブラウザ設定画
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NTTデータグループの技術を結集

つぎに開発チームの選定に取りかかった。7月にはコンペのための要求仕様書をまとめ、5社の候補から3社を選んで協力を募った。

その内の1社にほぼ決まりかけていたところ、情報を聞きつけたNTTデータ先端技術(株)から熱心なアプローチがあり、最終的には同社に開発を依頼することが決定した。

「NTTデータグループにおける『技術中枢』としてのプライドをかけて、ぜひこのプロジェクトに参加したかった。」と、意気込みを語るのは同社オープンソース事業部の山中ビジネスユニット長。
「社長自らによる力のこもったトップ営業、間髪を入れずにアポなしで来訪された山中さんの熱意と行動力に、同社の『本気度』を見た気がしました。」と、中渡瀬部長・西田さんも口を揃える。

山中さんはその後、プロジェクトのマネジメントを担当、開発全般のコントロールを任される。
「コンセプトやターゲットが明快なので、社内や関係者に対しても説明しやすく、わかってもらいやすかった。また、性能や機能を評価する際にも、『こだわる部分』や『割り切る部分』の見極めがつき、意思決定も早かったですね。」と山中さん。

astimaの売りの一つがCTI機能だが、その実現には同社の松澤さんが当たっている。
「CTIの業界標準インターフェースであるActiveX CTに対応させるとともに、CRMパッケージソフトが動作するためのコンポーネントを用意しています。まずは、イリイ(株)の『BIG顧客 for CTI』に連携させるべく、同社とカスタマイズ調整中です。」と松澤さん。

もう一つの売りであるIVR、そのコアにあたる音声認識機能の開発は、長年にわたりVOISTAGEの音声認識エンジン「Vrec」を手がけてきたNTTデータの技術開発本部が担当している。
同部の樋口さんは、「まだまだ未知の領域も多いといわれるIP電話という環境、しかも高性能な最近のPCより低いハードウェアスペックという悪条件のなか、いかに実用的な性能を確保するかがポイントとなります。一般のIVRで必要となる機能に絞り、認識性能と処理速度のブラッシュアップに努めています。」と語る。

製品最大の特徴であるAsteriskのパッケージングを担当するのは、チャットボイス(株)の上原社長だ。
同氏も実はNTT出身で、Asteriskに関してはパイオニア的存在だ。同社は、国内で出版されているたった2冊のAsterisk専門書のうち、1冊の監訳を手がけた。山中さんによると、「上原社長は、知る人ぞ知る『国内でAsteriskを流行らせた張本人』(笑)。ぜひ、プロジェクトに招聘したかった。」とのことで、ようやく実現にこぎつけた。

当のご本人は、「SIやコラボレーション、付加価値付けなどの部分で参考になることも多いので当プロジェクトに参加することにしました。具体的な仕様がはっきりと決まっていなかった段階での話だったので、『仕様が膨らむに違いない』と一部の技術担当役員からは参加を危惧する声があがったのも事実。ある部分、その通りになっていますが。」と苦笑する。

これら、NTTデータグループの技術を結集した感のあるチームによってastimaの開発が進められた。

(左から)NTTデータ先端技術(株) 山中ビジネスユニット長、松澤さん、NTTデータ技術開発本部 樋口さん
さまざまな用途にもオールインワンで対応
ソフトウェアのパッケージングイメージ
チャットボイス(株) 上原社長

展示会での反応と今後の展望

astimaは、10月に開催された展示会「NTTグループコレクション2006」に出展し、はじめて公開された。

「IP電話に精通した大手生活インフラ企業の情報システム部の人たちが大挙して見に来ていただき、『デビューのときを待っていますよ』との言葉で、大きな期待が寄せられていることを実感しました。」と、会場で説明役に汗を流した西田さん。

07年2月の発売に向け、今年中にβ版が完成、年明けからは製品の品質を煮詰めていく予定だ。

今後の展望について中渡瀬部長は、「とりあえず、私が思い描いてきたものは実現するめどがつきました。さらに、今後の展開もすでに構想としてもっています。単体での動作を前提とした現機ですが、次のステップとしては、ミッションクリティカルで大規模な運用にも対応し、縮退運転も可能な、複数機が連携して運用できるような製品もめざしたい。

また、本・支店など拠点ごとに設置することで、遠隔地間でも内線通話が行えるようなネットワークにも対応できればと思っています。
機能面では、音声合成を次期バージョンではサポートしたい。これにはハードウェアの性能に依存することになりますが、CPUを低発熱でより高スペックなものにアップデートすることで、現在の筺体でも十分に実現が可能だと判断しています。マルチメディアカードのように、専用の基盤やチップをあらためて開発する必要もないため、性能アップや機能拡張は容易なのです。

astimaを使用したソリューションも現在3社で開発を予定しており、VOISTAGEパートナーからの問い合わせや引き合いも多く寄せられています。来年以降、さまざまなパッケージシステムが誕生してくることでしょう。

日経コミュニケーション10月号によると、2007年は30社くらいからAsterisk応用製品がリリースされるようです。astimaはそれらとの差別化は十分できており、バックボーンとなるVOISTAGEの販売チャネルやブランドロイヤリティもあります。期待していてください。」との力強い言葉で締めくくった。

VOISTAGEにとって、astimaは過去最大のマイルストーンとなることは間違いない。

NTTグループコレクション2006で先行展示されたastima。試作機ながら多くの来場者の注目を浴びていた
astimaを手に今後の展望を語る中渡瀬部長
利用例(ビジネスホンシステムとして利用した場合)

 

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