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営農情報FAX-OCRシステム

営農情報FAX-OCRシステム

営農情報FAX-OCRシステム
JA兵庫中央会

生産履歴情報をFAX-OCRで受付・管理、
トレーサビリティ確保と生産意欲向上を実現

ついに、牛丼店のメニューから牛丼が消える状況に至り、今ほど、食に対する関心が高まったことはなかったといっていい。数年前のO-157やダイオキシン残留野菜以来、環境ホルモンや遺伝子組み換え食品が話題に上り、牛乳や食肉、鶏卵の偽装表示など、枚挙にいとまがない。さらに最近では、BSE、鳥インフルエンザと、国境を越え食品への信頼を脅かす事件が矢継ぎ早だ。同時に、食品が生まれて消費者の口に入るまでの経路を管理・追跡できるようにする「トレーサビリティ」の重要性が高まっている。政府や業界も本腰を入れて対策を模索中だが、理想の情報システムには課題も多い。そんな中、JA兵庫中央会では、トレーサビリティの確保に向け、独自にFAX-OCRを導入し注目を浴びている。

JA兵庫中央会USER8s VOICE

JAが責任もってトレーサビリティを確保

今回のユーザーは、JA(農業協同組合)兵庫中央会。兵庫県下15のJAを統括し指導にあたる。FAX-OCRシステムの導入を決めた情報システム部の牛尾部長に話を伺った。

「食の安全・安心をサポートするトレーサビリティについては、本来は政府や消費者の皆さんから指摘されるものであってはならない。

生産者(農家)単独ではできないが、それらを代表する私たちのような団体が率先して取り組むべき問題だと思っています。

そこで、多くのJA組合員がもつ身近な情報端末であるFAXを使って、農産物の生産過程の各種情報を収集・管理し、JAが責任をもって市場に送り出そうという仕組みが『営農情報FAX-OCRシステム』です。

まずは昨年10月に、大都市近郊で生産品種も多く規模も大きい、管内のJA兵庫六甲からスタートさせました。」

北は日本海、南は瀬戸内海に面した兵庫県は、面積が広く気候も多様で、地域も大都市部から郡部と非常に多彩だ。

都市近郊のJA兵庫六甲では、有に160品種もの農作物が生産されており、それらすべてを生産・流通・販売の各段階でトレーサビリティを管理することは、現実的にはとても無理だ。

JAの役割とFAXの活用で、その問題に当たろうというわけだ。

牛尾部長
A兵庫中央会が統括する県下のJA

業務効率と生産意欲の向上もめざして

システムの概要をご紹介しよう。農作物の生産には、生産計画~播種(植付)~施肥(肥料)~防除(農薬)~収穫と、さまざまな工程を経て出荷される。

それぞれの段階で、JAの基準(栽培ごよみ)に基づいた方法で生産された農作物だけがJAのレッテルを貼ることが許される。

そのために、生産者はそれぞれの工程で「生産日誌」をつけ、肥料や農薬などの使用状況をJAに報告する必要がある。その記録をOCRシートに記帳し、FAXで送ってもらう。

肥料や農薬は、生産グループが推奨する種類の中から選んだ3桁の識別コード(数字)、用量、希釈倍率をマス内に記入する。推奨外を与えた場合は、カッコ内にその名称を記入することになっている。

これを、作物品種・圃(ほ)場(農場)ごとに作成する。といっても、1枚あたり2~3分で済む。

組合員からFAXで寄せられた生産履歴は、JA中央会の情報システム部の受信サーバーに送られる。手書きのシートはここで自動的に読み取られ、データとして一括管理される。

ナンバー・ディスプレイに対応しているため、シートが裏返しで送られたりして読み取りエラーが出た場合は、自動的に送信者に再送信を促すメッセージが届く。

そのため、番号通知で送信してもらう(非通知の場合は話中となる)。スタート段階の現在は、4回線での運用、対象組合員は1万人におよぶ。

これまでは、紙ベースの生産日誌を生産者がJAに持ち込み、JA職員が綴じ込み保管していたのだが、品種が多いと膨大な量になる。

出荷・販売された農作物に万一の不具合があると、その中から該当する生産履歴を照会するだけでも大変だ。

システムの導入で、生産者番号や圃場番号などから、すばやく履歴データの確認や原因を追及することができるようになった。

データは同時に、担当する地域のJA営農指導員がPC上でチェックし、指導にあたる。

指導員は、組合員ごとの土壌特性などの環境も熟知しているので、生産履歴と照合し、生産効率や販売価格を高めるための適切なアドバイスをタイムリーに伝えることができる。

システム導入の狙いが、トレーサビリティの確立だけでなく、JA内での「業務効率の向上」と、組合員の「生産意欲の高揚」にもあることがわかる。

OCRシート(生産日誌)
FAX-OCRシステムサーバー
JA兵庫中央会 情報システム部

認識率に高い評価

さらにこのシステム、情報共有・情報流通の視点から、クライアント/サーバー形態ではなく、Web上で運用されているという点も大きな特徴だ。データはWebブラウザ画面で閲覧する。

地域のJA営農指導員がリアルタイムに営農情報を取り出すことができるのも、この環境によるところが大きい。

なお、営農情報のエントリーは、FAXのほか、従来のような生産日誌のJAへの持ち込み(職員が入力)、Webの日誌入力フォーム、ダウンロードしたCSV形式のフォームに入力/アップロードする方法の4方式を用意している。

データ化された営農情報は基幹系システムと連携し、JA内イントラネットで情報共有されるとともに、県下の各JAとは、県が推進する情報インフラ「兵庫情報ハイウェイ」を介したネットワークが組まれている。

消費者がJAにある端末から情報を閲覧することもできる。さらに今後、Webサイト上で情報公開することも可能だ。

OCRシートは通常、事前に印刷しておくのが普通だが、今回の場合は、各JAのプリンターで印刷して組合員に配布している。

「システム更新にも容易に対応するためと、生産者番号など規定のコードを可能な範囲であらかじめ印刷し、記入時に手間がかからず、まちがいなく認識できるようにとの配慮です。

誤認識はほとんどなく、認識率を含めたシステムの基本性能の高さには満足しています。」と、牛尾部長の評価も高い。

県下の他のJAへの展開は、各地域の特性やニーズを見極めながら、3年計画で順次導入を検討していきたいとのことだ。

OCR認識結果画面
送られた日誌はリアルタイムに閲覧が可能
システム概念図

 

トレーサビリティの必要性と難しさ

最近ではトレーサビリティ確保のために、超小型ICタグや二次元バーコードなどの先端技術の応用が話題に上っている。しかし、これらにはコストという高いハードルが実用化への道を阻んでいる。

例えば、ICタグの場合、食品の生産履歴や図書館の貸出書籍管理などの実証実験が行われているが、チップ1個あたり数十円のコストとともに、データの入出力に専用端末も必要だ。1束50円のネギに同額のチップを付けるわけにはいかない。

「さらに農作物は、出荷時には段ボール箱入りでも、店頭に並ぶときには小分けされ袋やかごに入っていたり、半分に切って売られたりと形態も刻々変化します。

また、鮮度保持が求められる生産・流通・販売の各段階で、もれなくデータを入力できるかという運用面でも課題は多い。しかし、安全と安心の確保は、食品にかかわる者にとって永遠の命題です。

FAX-OCRシステムによる生産履歴データは、今後求められるより厳格なトレーサビリティ管理にも対応できるはず。」と、牛尾部長。

食品の安全・安心確保の難しさ

食の「安全」は厳格な検査体制や品質管理で担保され、「安心」はその上に成り立つ生産者・消費者間の信頼関係であるともいえる。生産者個人ではできないことをJAが代わって管理し保証する、FAX-OCRはトレーサビリティ確保に向けた有効かつ現実的なソリューションだ。

JA兵庫中央会(兵庫県農業協同組合中央会)情報システム部

〒651-2102 神戸市西区学園東2-1-1 兵庫県信連分室4F
TEL:078-793-6190
URL:http://www.ja-hyogo.or.jp/
E-mail:jahyogo-jyoho@nifty.com

JA兵庫六甲

URL:http://www.jarokko.or.jp/

 

VENDERs EYE

株式会社NTTデータ関西第一ソリューション事業部
公共ビジネス部 ビジネス開発担当
課長 遠藤 竜一

TEL:06-6455-3207/FAX:06-6455-3224
URL:http://www.nttdata-kansai.co.jp/
E-mail:ryuichi.endo@nttdata-kansai.co.jp

技術資産を活用し、完成度の高いシステムを実現

今回のシステムは、NTTデータ関西が開発を担当した。同社は、開発子会社にあたるNTTデータ関西テクシスと販売子会社のNTTデータ通信システムズの2社が合併し、NTTデータ西日本支社との体制の整理・再編を行い昨年7月に誕生した。NTTデータグループを担う9地域会社の1社で、関西エリアのITビジネスを一貫した体制でトータルに手がける。

システム誕生の経緯は、3年ほど前から(株)NTTデータ経営研究所がJA兵庫六甲と取り組んできた、地域通貨の実証実験にさかのぼる。遊休農地が増え、住民間のコミュニティが薄れていくなか、地域の農業や環境保全に協力してくれた地域住民に対し同JAが発行するエリア限定の地域通貨が「たべもの通貨KOBE」だ。

「ちょうど、食品の安全・安心が叫ばれ始めた時期で、そのプロジェクトの中でトレーサビリティの必要性も取り上げられたのがきっかけです。テーマの性格上、県全域のJAを対象にすべきとのことで、JA兵庫中央会さんで導入に向けた検討をしていただきました。」と、開発責任者の遠藤課長は語る。

高齢化が進む農業従事者の平均年齢は70歳に届こうとしている。「若手で60、70中堅、80でも現役」といわれるほどだ。最新のモバイル端末やパソコンを所有し自在に使える人たちではない。FAXの活用は当然のなりゆきであった。

開発に苦労した点は?「VOISTAGEには導入実績が豊富な『FAX-OCRシステム』パッケージがすでにありました。基本性能やパッケージシステムとしての完成度が高く、ベースとするには申し分なかったのですが、Web環境での運用という面でのカスタマイズには若干苦労しました。

Webブラウザ上でFAXイメージデータを座標で指定する必要があり、弊社のWeb対応GISプラットフォーム『GEOPLATS』の技術も応用しました。昨年7月からの3ヶ月間で開発・試験が終えられたのも、それらの蓄積があってのことだと思います。」と、遠藤課長は振り返る。

NTTデータでは、今回の経験と実績を踏まえ、トレーサビリティに向けたFAX-OCRの活用を広く関係団体に働きかけていく予定だ。

 

ご注意

本レポートに記載された内容は掲載時点のものであり、システムの内容、社名 やご担 当者様の所属、連絡先などの情報について、閲覧される時点では変更されてい る可能 性があることを、あらかじめご了承ください。
なお、本レポートは情報提供のみを目的としており、弊社は明示的また は暗示的を問わず、内容にいかなる保証も与えるものではありません。