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FAX連携TV放送システム「FACE-B」 |
何と、FAXで送った原稿が自動放映、 |
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![]() INCマスコットキャラクター 「チャッティ」 |
●取材当日に図らずも実力を体験 |
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87年サービス開始の長野ケーブルテレビINCは、長野市をエリアに総視聴世帯5万8千世帯を誇る、県下最大クラスの都市型・双方向型CATV会社だ。FM含め45チャンネルを提供するこのケーブルテレビで、今年6月から新サービスがスタートした。京都電子計算(株)が提供するシステム「FACE-B」を使ったユニークなサービス「ファクス伝言板」だ。 まずは、システムの導入責任者、林 正夫・放送担当取締役に話を伺った。 「CATVは、常時接続・高速のインターネット環境が提供できるインフラであるとともに、コミュニティ・メディアという使命ももっています。『ファクス伝言板』は、後者の特性を活かし、視聴者の視点に立った多彩でホットな生活情報が、視聴者自らが受発信できるサービスです。その名の通り、伝言板がわりにだれでも気軽に利用してもらいたい。」 このサービスの実力を、取材の場で図らずも体験した。当日、長野市内で水道管の大規模な破裂事故があり、一部で冠水や断水するなど市内は大騒ぎであった。その情報をいち早く伝えたのが「ファクス伝言板」であった。市役所から直接送られてきた原稿が、自動放映され、即時性ある一面も実際に確認することができた。 |
![]() ■林取締役 |
![]() ■水道管破裂による断水を伝える画面、テレビ上はホームターミナル |
●FAXで送った原稿が、指定日に自動放映 |
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このように、主要公共機関からも情報が届き、「ファクス伝言板」の用途は幅広い。ボランティアやサークル仲間の募集、各種案内などの「通常情報」、上記のような通行止めなどは「至急情報」、地震など災害関係は「緊急情報」として扱われ、情報の種類や発信者別に、画面の背景色や背景画像が決められている。平常時から緊急災害時まで、ムダのない効率的な運用が可能だ。 利用者は、原稿をセットしたFAX機から「ファクス伝言板」に電話をかけ、4桁の利用者番号、放送日数(最大7日間)を順にダイヤルし、送信ボタンを押すだけの簡単な操作だ。あとは自動で指定の期間、原稿がテレビに映しだされる。 原稿はA4用紙に、手書き・ワープロ打ち・イラスト入り等、体裁は問わない。 なお、セキュリティ確保のため、事前に利用者と使用するFAX機のID番号、利用者暗証番号の登録が必要。 放送は、21ch「市民チャンネル」で、毎時45分から15分間の「ファクス伝言板」番組内で1メッセージ20秒、1日12回流される。 年間登録料は2000円、送信1回につき200~300円を予定しているが、8月までの3ヶ月間は試行期間として無料。「その間で、職員の操作習熟と利用者のニーズを見極めている段階です。」と、運用担当者、善財 優・放送部長は話す。CATV会社は、どの局でも一人で何役もこなすほど、少ないスタッフで運用されている。基本的に「ノン・オペレーション」のこのシステム導入のメリットは大きいといえる。 ![]() ![]() ■FAXから原稿を送ると、自動放映 |
通常情報・学校の場合![]() 至急情報・サークル団体の場合 ![]() 緊急情報・気象警報の場合 ![]() ■原稿例、上から通常・至急・緊急情報 |
![]() ■システム構成図 |
●限りなく広がる用途 |
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9月以降は、現在制限している純粋な商業目的の使用も解除される予定。そうなれば、商店が売れ残りそうな生鮮品を急遽、特売情報として流すこともできる。新聞折込み広告に比べてもコストは格段に安い。また、FAXからの送信原稿だけでなく、画像データのもちこみや電子メールによる原稿受付けも考えられる。 「例えば、保健所で保護している犬猫の案内や、迷い・探しペットの情報もカラー写真入りで詳しく紹介することもできるわけです。さらに、プライバシーの面さえクリアになれば、徘徊老人の情報公開も可能。街の生きた情報を、リアルタイムに登録・提供することができるこのシステム。用途は限りなくあります。」と、林取締役の期待はふくらむ。 |
![]() ■善財・放送部長、 サーバーは手前から音声応答用、 放送スケジュール用 |
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98年度のCATV視聴世帯は約1600万世帯と、国内全世帯数の3分の1以上におよび、増加の一途をたどっている(郵政省調査)。また、先日発表された国内第1位のCATV運営会社ジュピターテレコムと、同第2位のタイタス・コミュニケーションの合併にみられるように、業界再編も加速されるものとみられる。 デジタル化やマルチチャンネル・マルチメディア化の文字が踊る放送業界。 CATVはそれら高機能化が実現しやすい環境にあることは事実だ。ただ、地域に根ざし、視聴者ニーズにきめ細かく対応できるCATVにしかできないサービスも今後ますます求められてくるはず。その1つが「FACE-B」だ。 「オールドメディアともいえるテレビやFAXでも、最新のシステムで結ぶことで新しい価値をもったサービスが生まれる。」と林取締役は最後に強調した。まさに、CTIのコンセプトそのものだ。 |
●株式会社インフォメーション・ネットワーク・コミュニティ 〒380-0836 長野市南県町653 TEL:026-233-1713 http://www.nagano-inc.co.jp E-mail:info@nagan o-inc.co.jp |
![]() 京都電子計算株式会社
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●全国14の街で、人と人を情報でつなぐ |
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「FACE-B」をパッケージシステムとして提供する、京都電子計算(株)は、京都新聞社の全額出資で64年に設立されたSI会社だ。VOISTAGEパートナーであるKIPシステムクリエイト(株)の親会社にあたる。 「FACE-B」は、96年に洛西ケーブルビジョン(京都市)との共同開発で誕生して以来、すでに14のCATV局に導入され全国で活躍しているという。うち、最近の10局のシステムがVOISTAGEを使ったものだ。 システム担当者の薩さんは、採用の理由を「音声応答の性能と充実した開発環境、それにコスト面を評価してVOISTAGEを採用しました。これにより、VOISTAGE導入前のバージョンに比べ、より低価格でシステム機能の充実が図れるようになりました。また、サポート面でも親身になって対応してもらえました。」と語る。 気を遣った点は、「放送画面の配色や多種の壁紙、イメージ写真などの取りこみ機能も用意し、局側でも演出できるよう配慮しました。モノクロのFAX原稿をそうと感じさせないように。」とのこと。 同社では、「CATVにおいては、高機能化の次には、コミュニティ情報充実の時代が来る。その時でも、身近な情報端末としてFAXは必ず生き残る。」と考えている。 「人と人をつなぐ、日常的な伝言板として気軽に永く使ってほしい。」と話す薩さん。長野ケーブルテレビでも聞かれたこの言葉、両者共通の願いであるようだ。 |
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