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医療照会テレホンガイド

医療照会テレホンガイド
柏原羽曳野藤井寺消防組合

近くの診療可能な開業医をリアルタイムに案内、
地域の医療情報ネットワークの一翼を担う全国初のシステム


大阪府東部に位置する柏原・羽曳野・藤井寺の3市、27万人・9万世帯の安全を預かる柏原羽曳野藤井寺消防組合は、99年9月14日、電話による医療機関の24時間照会システムを導入した。VOISTAGEの音声認識を利用した全国初のこのサービス、TVや新聞でも大きく取り上げられ、他の自治体からの問合せも相次いでいるという。単なる自動化による業務効率の追求や住民サービスの向上だけでは語りきれない、救急医療現場の実状と本音を探る。
 

 
 
■戸谷課長・土井さん

●経験豊かな「おばあちゃん」に代わって
「子供の熱が夜、高くなってきた」「どうも風邪をこじらせてしまったようだ」…。不慮の事故やけがは別として、救急車を呼ぶときは、初期病状が進行し、ぎりぎりまで我慢したあげくでの119番が多い。また、「病院なんて、いつでも診察してもらえる」といった思い込みや、「近くの開業医がわからなかった」など、医療情報の少ない実状がある。

「『救急車を呼ぶときはよぽどのとき』なのですが、このシステムを導入した理由は、そんな『よぽどの』症状に到らない早期の段階で、気軽に近くの医療機関にかかることが重要と判断したためです。」と、システム導入の担当責任者である同組合消防本部総務課の戸谷課長は話す。「実は、これには『核家族化』という背景があるんです。昔は、周辺の医院の情報を熟知した、経験豊かなおばあちゃんなりが家におられ適切なアドバイスがあったり、家族代々が診てもらった『かかりつけの医者』がいたりした。核家族化が進んだ今、症状が重くなった深夜になって、初めて最寄の医療機関を探しだすケースが多い。そんな場合は、すでに診療時間も過ぎ、遠方の救急診療機関に搬送されることになる。『ちょっとおかしいな』と思ったときは躊躇せず、まずは近くの開業医に気軽に診てもらうことが先決。そのうえで、診察に応じ総合病院等の医療機関にかかるなど、地域に根ざした段階的な医療のあり方をこのシステムを通して提案・啓蒙していきたい。」と力説する。

■消防本部 指令室

■病院表示盤

●診療中の医院を近い順に3件案内
音声認識を利用しているだけに操作は簡単で、誰にでも利用できるよう配慮されている。利用者は、システム(0729-58-9990)に電話をかけ、診療科目・住所(町名)を告げると、診療中もしくは、1時間以内に診療が始まる医院3件が近くから順に音声案内される。また、FAXからは該当する医院の住所や地図、診療日・時間などの情報を取り出すことができる。さらに、問い合わせや相談したい場合には、プッシュ操作により、職員が直接電話に出て応対する。データベースには、管内300ヶ所の診療機関の場所や診療時間情報、106の町名・座標位置が登録されており、診療科目は7科目、2回線(最大8回線)で24時間運用している。106もある町名のなかから、効率よく指定するためには、やはり音声認識でなければ実現できなかったであろう。

採用にあたっては、テレホンガイドの実績や音声認識の性能を評価してVOISTAGEを指名、NTTデータから紹介された(株)タカコムがシステム構築を担当し、約4ヶ月間の開発期間を経て、9月14日に山西敏一・柏原市長の操作で運用が開始された。


■サービス概念図


■FAXで取り出した診療機関情報

●早期診療が求められる利用の実態
利用の状況を見てみよう。12月6日までの累計では2,000件にのぼるが、掲載したデータは、サービス開始直後の一時的な利用増加の振れも落ち着いた11月1ヶ月間の科目別アクセス件数。小児科が全体の3分の1を占め、以下、内科、歯科、整形外科と続く。時間帯では何と、午後9時から12時台の4時間で全体の半数にのぼり、そのまた半数が小児科の問い合わせであった。ただしその時間帯では、ほとんどの医院は診療しておらず、「もう少し早く問い合わせていれば…」との思いを裏付ける利用の実態だ。

CTIシステムといえば、自動化による職員の負担の軽減や業務効率の向上が効果にあげられるが、その点に関し、システム運用担当で司令救急課の土井さんは、「当消防本部に寄せられる医療機関照会の問い合わせは、日に20件ほど。サービス開始後、アクセスは倍増したが、その程度の対応は職員にはさほど負担にはなりません。自動化による真のメリットは、気軽に利用できること。それにより、前述の地域医療の果たすべき役割を支援することができれば。」と語る。
■科目別利用件数(99年11月)

順位

診療科目 件数(%)

1

小児科 130(34.3)

2

内科 56(14.8)

3

歯科 36(9.5)

4

整形外科 31(8.2)

5

眼科 30(7.9)

6

産婦人科 27(7.1)

6

耳鼻科 27(7.1)

8

外科 26(6.9)

9

皮膚科 6(1.6)

10

その他 10(2.6)
合計 379(100)

●まずはサービスを知ってもらうこと

■PRパンフレット
このサービスは、住民に知ってもらうことから始まる。消防組合では、各市と連携を図りながら、3市の広報紙に掲載するとともに、独自のパンフレットも作成し、PRに努めている。また、TVや新聞報道で知った、他の市町村からも問い合わせやアクセスも数多く寄せられており、関心の高さがうかがえる。

119番で問い合わせることにためらいを感じている人も多いはず。利用には、わずらわしいプッシュ操作やメニューコード表も不要で、携帯電話や公衆電話からも可能。いつでも・だれでも・どこからでも、簡単に医療情報が引き出せるこのシステムは、利用者の意識とこれからの地域医療の接点を見据えた注目のサービスだ。

 

■システムサーバー(消防本部内)
医療照会テレホンガイド
 
本サービスは2011.3.31をもって終了しました。
 
0729-58-9990
●柏原羽曳野藤井寺消防組合消防本部

〒583-0015 大阪府藤井寺市青山3-613-8
TEL:0729-58-0119(代)
http://www.mydome.or.jp/kasihafuji-fd/
E-mail:kasisyou@mbox.mydome.or.jp


株式会社タカコム 大阪営業所
所長 岸田邦和
TEL:06-6260-4611
URL:http://www.takacom.co.jp
E-mail:takacom@takacom.co.jp

 
「タカコム」といってもピンとこない人にも、旧社名の「高千穂通信機」といえば分かる人が多い。留守番電話機の草分け的存在であり、機能を絞ったテレホンサービス用自動応答装置の分野では国内No.1のシェアを誇る通信機器メーカーが、(株)タカコムだ。また、消防情報の案内装置なども全国ほとんどの指令台に導入されており、NTTデータが、「医療照会テレホンガイド」のシステム開発を依頼したのもそんな実績や太いパイプがあってのことだ。

苦労した点を岸田所長にうかがった。「やはり音声認識です。特に診療科目の認識で、現在も辞書の最適化をVOISTAGEスタッフにも協力してもらい進めています。町名と較べ診療科目は、『シカ』や『ゲカ』など短い近似語が多く、実用的な認識率を確保することが非常に大変。また、当初は20科目以上を設定していましたが、利用状況を見ながら認識精度をより高めるために7科目に絞らせてもらいました。」と、現在でもさらなる性能向上をめざした取組みがおこなわれている。

「案内パンフレットもできあがり、2000年1月から全国の消防局や各市の保健衛生課に向け、パッケージシステムとして販売を開始します。」とのこと。21世紀にふさわしい地域の医療情報ネットワーク構築に大きく貢献することだろう。



■パッケージとして販売される
「医療照会テレホンガイドシステム」

 
 
 

ご注意

本レポートに記載された内容は掲載時点のものであり、システムの内容、社名やご担 当者様の所属、連絡先などの情報について、閲覧される時点では変更されている可能 性があることを、あらかじめご了承ください。
なお、本レポートは情報提供のみを目的としており、弊社は明示的また は暗示的を問わず、内容にいかなる保証も与えるものではありません。